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執筆者の写真Kakizaki Eugene

<レースレポート> Manche-Ocean

<レースレポート>

2021/07/04

Manche-Ocean (Elite National)


開催地:Corlay (22) ~ Pluneret (56)

レース距離:154km (100kmライン区間+5km×10周)

レース結果:15位 (出走 164人)


ブルターニュ地方で開催される歴史の長い重要なレース 「クラシック・ブルトンヌ」の中の一戦、Manche-Ocean。

レースカテゴリーはフランスアマトップカテゴリーのエリートナショナルだが、クラシック・ブルトンヌはその中でも特に格式の高いレース。

ここでの結果は必ずプロの道に繋がるため、絶好調の今こそチャンスだと絶対に結果を残すべく意気込んでレースに挑んだ。

先週までは週2レースをコンスタントに走り、レースを走ることで調子をあげてきたが、今週はこの1レースに絞って入念にコンディショニングを行ってレースに挑んだ。


この日の出走は164人。

その中で昨年ブルターニュのアマチュアレースを総なめにしたディラン・クヴァルスキーが、唯一のプロとして単騎参戦。

彼の動きは特に注意していった。

Valletは今回10人が出走し、チーム力としては出走チームの中でも非常に高い方だった。


コースを簡単に紹介すると、ブルターニュ半島を横断するようにして約100kmの4つのKOM+3つほどのKOM外の登りを含む非常に起伏に飛んだライン区間と、まるで修禅寺CSC5kmコースのような登りと下りのみの約5kmの周回コースを10周する、合計154km。

周回は1.5kmの登りの頂上にゴール地点が設定されており、まるで秀峰亭ゴールのような最後は登坂力と踏み切るパワーが試されるハードなレイアウト。


わかりやすく例えると、100kmを平均45km/hで約2時間のアタック合戦をし続けた後にチャレンジサイクルロードレースの男子エリートを10倍”難しく”したような感じでしょうか。。。




※ 見づらくてすみません。。。






この日も非常に調子がよく、序盤は常に「こんなにゆっくり進むの...? 」と感じるほどに穏やかに集団内で過ごし、後半の勝負向けて脚を貯めていく。

若干風が強く、分断を警戒してどの選手も前に前に上がろうとして少しナーバスな雰囲気があり、自分も落車にも気をつけながら後退しないよう常に前方に上がり続けるように意識して位置取っていく。

ちなみに、コースは常に森に囲まれていたため天気予報ほど風に警戒する必要はないと判断してそこまで焦らずに落ち着いていられた。

35km地点付近で動きがあり、有力視していたクヴァルスキーとチームメイトを含む10人ほどが先行し始めたため集団からのジャンプに乗って一気に先頭に合流するが、集団も警戒して程なくして吸収。

しかしここは危険な動きだった。


1時間が経過してもなおアタック合戦は終わらず攻撃の掛け合いが続く中で、自分を含めてValletは必ず動きに誰かが入るとても良いチームプレイを発揮してレースが進む。

そして66km地点の中間スプリントポイントを前にして大きな動きがあり、自分ともう一人がそこに加わって動いた中で、自分が単独で抜け出す形になってしまった。

単独でいきたいわけではなかったため集団の様子を伺いながらカウンターアタックに注意していると、吸収と同時にチームメイトを含む3名のアタックがかかりそこでようやく逃げが決まる。

逃げに乗せていないチームたちが追走するのかコントロールするのか不安定な状況で進める中、Valletはとても冷静に静観することができ後半に向けて非常に良い状況となった。


そして一旦全ての逃げが吸収されて集団一つの状態でライン区間の終わりへ。

ここでレースが大きく動く。

ブルターニュチャンピオンや各有力チームの選手たち少ない人数だが強力に動き、一気に集団からタイム差を奪って逃げを開始。

自分はアタックの瞬間を目の前で見ていたが、ゴール周回が厳しいことや先頭の人数が決して多くないこと、動かない有力選手も多くいることからあえて見送る判断をした。


ゴール周回に入ると、最初の二周は割と安定してペースを刻んで進んでいたが、ちょうどチームメイトが上りで位置を上げて先頭で登っていたタイミングで一気に追走のアタックがかかり、そこに反応したものの微妙に届かず逃してしまった。

ここで焦って踏み続ければオールアウトして全てを台無しにしてしまうので、待って待って待って我慢して頂上をすぎたところでジャンプアップするアタックが掛かったのでそこに飛びつく。


追走グループに合流し、しばらく8人ほどのグループでレースを進めたが、先頭2名とのタイム差が20秒で縮まった残り3周直前の登り区間で、この日の優勝者とVC ROUAN2名が強烈なアタックで飛び出していった。

脚も限界ギリギリで攻めている中で流石に反応することができず、5人対3人の構図ならば粘って引き戻すことができるかもしれないと判断して、焦って動かずに協調を促して追走を続ける。

しかし飛び出した3名は強烈な勢いで先頭に合流し、自分たちが追いつくことはなかった。。


残り2周手前の登り区間で今度は、先日のフランスカップ覇者のカナダのパリゼラがアタックし、2対3にグループが割れてしまう。ここもアタックにつき切れずに後方に入ってしまったが、前の二人の勢いがそこまでなくタイム差が広がっていかないことを確認して、そこはあえて待ってタイミングを伺い、最終周回に入る登り区間で一緒にいた二人をペースで千切って前の二人に合流。

ここからはこの3人での勝負を確定させるため全力で回っていくが、なんとラスト2kmで後方から少しずつ近づいていたクヴァルスキーグループに合流されてしまった!!

その中には自分のいたグループから脱落していった選手も入っており、ここまでの動きが全て水の泡に...。

最後は計10名のグループで1.5kmの登坂勝負となったが、120%の限界点+初めてのこのレベルでの登坂勝負にうまく立ち回れず、グループ最後尾の15位でのゴールとなってしまった。


残り2kmまでは6~8位が確定したグループに入っていただけに、本当に本当に悔しい結末となってしまった。


今回のレースは、まさに「未知の領域」だった。

ライン区間では有力選手たちに対して攻守を繰り返してレースを進め、周回に入ってからは完全に勝負グループで展開していた。

優勝した選手のアタックにも、立ち回りさえうまくできていれば十分反応することができたかもしれない。

昨年、いや数ヶ月前まで雲の上のような存在だった選手たちとこうして勝負をしていることに、本当に興奮した。

ゴール勝負こそこうした展開での勝負に慣れていないことで大失敗してトップ10を逃してしまったが、分析と改善をすれば必ずすぐに到達できる。

しかし、ここ数レースで15、16、17位と微妙な順位が続いており、おそらくこれが今直面しているエリートナショナルでの壁なのだと思う。

この壁を打ち破ることさえできれば、優勝はすぐそこにある。


ここのところ、レースを走るたびに大きな成長を感じ、新たな世界が見えて、次はどんな走りができるのか楽しみで仕方がない!

次戦は、7/8 Criterium de Vannes 123J

そして週末はRonde Finisterienne 123Jの二連戦と、この後もカレンダーはみっちりと素晴らしいレースが詰まっています。

今この絶好調の時に、昇り詰められるところまで一気に駆け上がっていきます。



<追記>

今回、このレベルのレースで勝負をした後冷静に考察をしていくと、ますます日本のレースとフランスのレースの決定的な違いを感じてしまった。

日本国内のレースも本当にきつく厳しいレースなのに、なぜここまで違うのか?

なぜ日本と世界の差が埋まらないのか?

フランスで、プロ直前のアマチュアトップレベルで戦ってきた中で、その大きな要因が少しずつ見えてきています。

キーワードは「キツさ」と「難しさ」だと感じています。


これについては、また後日じっくりと文章にしていきたいと思います。

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